教訓4: 母店の主要顧客を塗り替えることだって可能!
出張所に配属になってまだ1年程の頃 1件の小さい運送会社を開拓しました。
冷凍トラックを3台持ち家内操業をしているちいさな会社でした。
人当たりの良い60歳代の社長と50歳代の奥さんはいずれも好印象でした。
奥さんが実は「◯◯のしば漬け」のお嬢さんだったのです。実家は関西のデパートにも出店している名家で、人物もなかなか社交的な人でした。
奥さんとは気が合ったのか近隣の多くの先を紹介してもらいました。
ただ気になることは、社長が神がかりのところがあり、印鑑の印相に拘り、多くの印鑑をコレクションしており、月に一度は会社を休み従業員全員で神様参りをすることでした。
1年ほど経ったある日、私が訪問すると、家中の雨戸が閉められて玄関に弁護士より『破産』の張り紙が・・・・・『夜逃げだ!!』
慌てて支店に帰り上司に報告しましたが、居所は掴めません。
小口の運転資金がありましたが、私はまだ1年目の駆け出しだった頃で上司がマル保(保証協会)保証付きの融資としてくれた為、代弁請求し実損は免れることができました。
奥さんに紹介してもらった先には大山崎町の大地主の奥さんも居られましたが「しば漬けの奥さんが何処にいるか知っているが、今は答えられない」といった回答のまま年月が過ぎていきました。
結局その運送会社は行方不明のままだったのですが、紹介してもらった先との取引がドンドン拡大してきました。
江坂の学習塾ビル建設費に始まり、歯科診療所建設費、名神拡幅工事の立ち退きによる代替地でのマンション工事費、遊休土地の有効利用の為の等価交換用マンション建設資金費用等々、資金需要がふって湧いたように増え続けました。
また、紹介してもらった先で更に紹介してもらい、長岡京市内の大地主の次男・3男の会社、また3男の趣味の外車のディーラー(カーグラやゲンロクに毎月掲載されている企業)等々件数も膨れ上がりました。
長岡京市は元々農家の三男坊が建築関係に就くケースが多く、『土建屋で持っている店』と言われてきましたが、バブルの崩壊により軒並み倒産が相次ぎ悲惨な状況だったのです。
資産余力も充分に有り、”新規事業” にチャレンジしようとする闘志に燃えた顧客が、これらに取って代わり支店のメイン先となるのは目に見えていました。